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誰かの忘れ物であろうか?
だとしたら持ち主はきっと困っているに違いない。
田中は電話を手に取った。
どうやら壊れてはいないようだ。
が、画面を見ると「圏外」と表示されている。
「しょうがない。下山したら警察に届けるか。」
田中はリュックに携帯電話をしまうと、山頂を目指した。
その晩、
田中は山頂にある山小屋にいた。
山小屋といっても、壁と天井があるだけの掘っ立て小屋。
昨夜は数人の登山者が利用したようだが、今夜は田中一人だ。
「することもないし、明日に備えてもう寝るか…」
田中は寝袋に包まると時計を見た。
ちょうど夜の10:00を回ったところだった。
ランプを消すと、
山小屋の中はいっそう静まり返った。
自分が呼吸をする音しかしない。
登山の疲れから、田中はすぐにうとうとしてきた。
…その時だ。
「プルルル プルルル…」
田中のリュックの中から電話の鳴る音がする。
田中は慌てて起き上がると、ランプの明かりを付け、リュックの中を探った。
鳴っていたのは自分の携帯電話ではなく、登山の途中に山道で拾ったあの携帯電話だった。
田中は携帯電話を開くと、受話ボタンを押そうとした。
が、そのとき田中はハッとした。
ここは電波がないはずだ。
田中はゾッとした。
しかし、電話はなり続ける。
電話の主を見るため、鳴り続ける電話の画面を見た。
そこには、
「非通知設定」
という文字が表示されている。
田中は恐る恐る電話に出てみることにした。
「…もしもし。あの、この携帯、拾ったんですが…」
しかし電話の向こうからは何の返事もない。
やっぱり電波がよくないのだろう。
田中は少し待ってから切ろうとした。
すると、
「今から、向かいます。いま、山道の入り口です。」
電話は切れた。
男とも女とも知れぬ声。
田中は電話の「つーっつーっつー」という音を聞きながら、呆然としていた。
「この展開は…知っているぞ…」
田中はつぶやいた。
「きっと次の電話では、“今山の中腹にいる”と言うんだ。次が山頂。次が山小屋の前。そして次が…俺の後ろに立っていると言うんだ…!
ど、どうすればいいんだ!!」
田中は電話を投げると、反対側の壁まで後ずさりした。
どうすればいい…どうすればいい…
田中はパニックになっていた。
これはいたずらじゃない…だとすれば、俺はどうなるんだ…
「プルルル プルルル…」
田中の恐怖心に反して、携帯電話は再びなり始めた。
田中は動けずにいた。
しかし、携帯はなり続ける。
田中は勇気を出して携帯を取り、電話にでた。
「も、もしもし…ど、どこにいるんだ!?」
田中は既に自分の声にさえもビクついていた。
「おまえ…知ってたな…?
じゃあ、話が早い…
今はな…お前の後ろだ…!!!」
「うわぁあああ!!!」
田中は気絶してしまった。
・
・
・
山小屋の外で物音がする。
小屋のドアが開けられ、入ってきたのは何頭かのたぬきだった。
たぬき達は気絶した田中の横の携帯電話を囲んだ。
すると、携帯電話は小さな子だぬきに姿を変えた。
子だぬきは自慢げに言った。
「ね?言ったでしょ?現代人を脅かすには携帯電話に化けるのが一番なんだって。お父さん達も古臭いのはやめて次からは僕みたいに携帯電話で化かしなよ。時代はITなんだからさ。」
タヌキも電脳化する時代、か。
2006.10.07 00:30 URL | ヤス #- [ 編集 ]
すっげぇ〜
落ちっ(^_^;A
すごく、ドキドキ!
急にへぇぇぇぇぇぇぇぇって
気分が意気消沈((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
けど、今を語ってるかも!
2006.10.07 00:57 URL | ななっぺ #- [ 編集 ]
やすさん:
いつもコメントありがとうございます。
もしかしたオレオレ詐欺もたぬきの仕業かも 笑
2006.10.07 01:51 URL | 作者 #- [ 編集 ]
ななっぺさん:
コメントありがとうございます。
僕自身怖がりなので、ありがちな怖い話を怖くなくしてみました。
最近の話にはたぬきが出てこないので、「たぬき=化ける」というのを再認識?する話です。笑
2006.10.07 01:54 URL | 作者 #- [ 編集 ]
たぬきちゃんのかわいい(?)イタズラですね☆
田中さん怖がりだ〜!o(^o^)o
2006.10.07 15:05 URL | せぴあ #- [ 編集 ]
すごい発想力ですね笑 おもしろ過ぎです。笑笑
頭が柔らかくなってくる・・感じがします。。。
2006.10.08 21:45 URL | #- [ 編集 ]
せぴあさん:
コメントいつもありがとうございます。
この状況ならたぶん僕も気絶だとおもいます。笑
名無しさん:
コメントありがとうございます。
これからもがっかりされないような話を書けたら、と思います。
2006.10.08 21:57 URL | 作者 #- [ 編集 ]
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